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不登校のお子さんを持つ保護者の皆さんにとって、お子さんが「何をしたいのか見つけられない」「どう学べばいいのかわからない」といった悩みは尽きないかもしれません。お子さんの学習や生活のペースをどのようにサポートすれば良いか、日々試行錯誤されている方も多いのではないでしょうか。
そんな中、株式会社ベネッセコーポレーションが運営するフリースクール「ベネッセ高等学院 中等部」が、生成AIを活用した画期的な研究成果を発表しました。AIが生徒の「計画」と「振り返り」をサポートすることで、子どもたちが自ら考え、行動する「主体的な学び」を育む可能性が示されています。この新しい取り組みは、不登校のお子さんの未来を考える上で、私たち保護者にとって希望の光となるかもしれません。
ベネッセ高等学院 中等部のAI活用研究とは?
この研究は、株式会社ベネッセコーポレーションが運営する中学生向けフリースクール「ベネッセ高等学院 中等部」と、ベネッセ教育総合研究所が連携して進めているものです。目的は、不登校の生徒が、自らの意思で学びを進める「主体的な学び」を支える上で、生成AIがどのような可能性を持つのかを検証することにありました。
具体的には、生徒が日々行う「計画」と「振り返り」の記録(「Beログ」というWebアプリ)に生成AIを組み込み、AIからのフィードバックが生徒の記述内容にどのような影響を与えるかを比較しました。
研究では、生徒を以下の3つのグループに分けて比較を行っています。
3つのグループ分け
A)挨拶のみ群:AIが定型的な挨拶のみを返すグループ。
B)ヒント提示群:AIが生徒の記述内容に応じたヒントを示すグループ。
C)例文提示群:AIが生徒の記述内容に応じた例文を示すグループ。
これらのグループ間で、計画や振り返りの記述内容にどのような違いが生まれるのかが検証されました。
AIが「計画・振り返り」を後押しする具体的な成果
研究の結果、AIからの具体的なフィードバックが生徒の「計画」や「振り返り」に良い影響を与えることが明らかになりました。
1. 計画・振り返りの内容を書けた日の割合が高い
AIがヒントや例文を提示したグループ(BとC)では、挨拶のみのグループ(A)に比べて、計画や振り返りに関する内容を1つ以上書けた日の割合が大幅に高い結果となりました。
特に夕方の振り返りでは、挨拶のみ群が64.6%だったのに対し、ヒント提示群は94.3%、例文提示群は94.6%と、約9割以上の生徒が内容を記述できたことが示されています。これは、AIのフィードバックが、子どもたちが一日の出来事や学びを言葉にする「最初の一歩」を後押しする可能性を示唆しています。
2. 夕方の振り返りに具体的な内容を書けた日の割合が高い
さらに、振り返りの内容の「具体性」にも違いが見られました。
「その日に何をしたか」を具体的に書けた割合は、挨拶のみ群が53.7%だったのに対し、ヒント提示群は76.8%、例文提示群は84.2%と高い数値を示しました。
また、「集中できた」「思ったより取り組めた」など、その日の自分の状態や取り組み方を振り返る内容(自己モニタリング)を書けた割合も、挨拶のみ群の54.0%に対し、ヒント提示群は74.8%、例文提示群は76.5%と向上しました。
💡 ワンポイント
AIが「どんなことをしたの?」「どう感じた?」と具体的な質問を投げかけることで、子どもたちは漠然とした一日を具体的な言葉で表現するきっかけを得られたと考えられます。これは、自分と向き合い、内省する力を育む上で非常に有効なアプローチと言えるでしょう。
不登校の子どもたちにとって「自己調整力」が大切な理由
プレスリリースでは、「自己調整力」という言葉がキーワードとして挙げられています。不登校を経験した生徒の中には、生活リズムや学習ペースを自分で整えることに難しさを感じるお子さんも少なくありません。
「自己調整力」とは、「自ら目標を立て、状況に応じて行動を調整し、振り返りながら次の一歩につなげる力」のことです。この力は、主体的な学びを進める上で不可欠であり、将来、社会で生きていく上でも重要な基盤となります。
近年、小・中学校の不登校児童生徒数は35万人を超え(文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」より)、一人ひとりの状況に応じたきめ細かな学習支援がますます重要になっています。しかし、教職員の数や時間には限りがあり、個別の支援を継続的に行うことには限界があるのも事実です。
このような背景から、ベネッセは個別最適な支援を補完する手段として生成AIに着目しました。AIを「生徒自身が考え始めるための伴走者」と位置づけ、日々の計画や振り返りを支援することで、子どもたちの自己調整力を育むことを目指しているのです。
AIと人の支援、それぞれの役割と可能性
今回の研究は、AIが子どもたちの学びをサポートする大きな可能性を示しました。しかし、プレスリリースでは「AIに答えを委ねたり、生徒支援をAIだけに任せたりするのではなく、生徒の取り組みや状態を教職員が見取り、必要に応じて人の支援につなげることも重要」だと述べられています。
子どもたちと日々接していると、「何から始めればいいかわからない」「振り返ろうと思っても言葉にならない」という場面を数多く目にします。だからこそ、子どもたちが自分の気持ちや行動を少しずつ言葉にし、「今日はこれをやってみよう」「次はこうしてみよう」と、自分で次の一歩を考えられるようになることが大切だと考えています。
今回の実践を通じて、生成AIはその最初の一歩を後押しできる可能性を感じました。一方で、子どもたちの小さな変化に気づき、不安や迷いに寄り添いながら励ますことは、私たち教職員の役割です。AIが担えること、人だからこそ担えること。その両方を活かしながら、一人ひとりが「自分のペースで学び、自分で未来を選んでいける力」を育めるよう、これからも新しい支援のあり方を追求していきたいと考えています。
ベネッセ高等学院・中等部 学院長 上木原 孝伸氏コメントより
このコメントからもわかるように、AIはあくまで「伴走者」であり、子どもたちの心の動きや細かな変化を読み取り、寄り添うのは人の役割です。AIが思考のきっかけを作り、人がその思考を深め、感情に寄り添う。このように、人とAIがそれぞれの強みを活かし連携することで、子どもたち一人ひとりに合った、より質の高い支援が実現できる可能性が期待されます。
ベネッセ高等学院 中等部では、今回の実践を通じて得られた知見を今後の運営に活かし、子どもたちの「主体的な学び」を支える新たな支援のあり方を追求していくとのことです。
保護者として、このニュースから考えること
不登校のお子さんを持つ保護者として、このニュースからどのようなヒントが得られるでしょうか。AIのようなツールがなくても、家庭でできることはたくさんあります。
お子さんの「主体性」を育むためのヒント
「何から始めればいいかわからない」お子さんには、まず小さな一歩から「今日は何をしてみようか?」と問いかけてみましょう。完璧な計画でなくても、お子さん自身の言葉で表現することが大切です。
一日が終わった時、「今日はどんなことがあった?」「どう感じた?」と、お子さんの言葉で「振り返り」を促してみるのも良いでしょう。AIがヒントや例文を提示したように、保護者の方も具体的な質問を投げかけることで、お子さんが自分自身の行動や気持ちを言葉にする手助けができます。
大切なのは、お子さんが自分のペースで考え、行動し、それを振り返る経験を積むことです。例えうまくいかなくても、「次はどうしてみる?」と一緒に考える姿勢が、お子さんの自己調整力を育みます。
⚠️ 注意
AIはあくまでサポートツールの一つです。お子さんの気持ちに寄り添い、安心できる環境を提供することが何よりも大切です。無理に計画を立てさせたり、振り返りを強要したりせず、お子さんのペースを尊重しましょう。
CoConから保護者の皆さんへ
不登校は、お子さん個人の頑張り不足や、保護者の皆さんの育て方に原因があるわけではありません。社会や教育システムの構造的な問題が背景にあることも多く、多様な学びの選択肢が求められています。今回のベネッセの取り組みのように、新しいテクノロジーが不登校支援に活用されることは、私たちにとって大きな希望です。
「不登校の家庭をひとりにしない。CoConが、隣で考えます。」
このニュースをきっかけに、お子さんの「主体的な学び」について、ご家庭で話し合ってみてはいかがでしょうか。CoConは、これからも不登校に関する最新情報や、保護者の皆さんに寄り添うヒントをお届けしていきます。
今日からできる3ステップ
お子さんの小さな「できたこと」を見つけて、具体的に言葉にして伝えてみましょう。自己肯定感を育む第一歩です。
「今日は何をしてみたい?」「どうだった?」といったオープンな質問で、お子さん自身の言葉や気持ちを引き出す機会を作ってみましょう。
ベネッセ高等学院 中等部のようなフリースクールや、地域の教育支援センターなど、多様な学びの場について情報収集を始めてみましょう。お子さんに合った選択肢が見つかるかもしれません。
(参考:ベネッセ高等学院 中等部 Webサイト)
よくある質問(FAQ)
Q.AIが不登校の子どもの学習を全て見てくれるようになるのですか?
Q.不登校の子に「計画を立てる」「振り返る」ことは難しいのでは?
Q.このAIサポートは、ベネッセ高等学院以外でも利用できますか?
参考・出典元
本記事は以下の公的機関等の情報を参考に作成しています。制度の詳細・最新情報は必ず一次ソースでご確認ください。
