THE INSIGHT / 運営者の方へ
「子どもたちの居場所として、なんとか今月も回した」。フリースクール運営者の多くが、毎月の家賃・人件費・教材費に追われ、来月の運営費の目途が立たないまま日々を過ごしています。運営理念は素晴らしくても、資金が枯れれば子どもの居場所そのものが消えてしまう――。今、不登校児童生徒が35万人を超える時代になっても、フリースクールの運営は圧倒的に保護者の利用料頼みのままです。このコラムでは、フリースクール運営者の方が利用できる5本柱の資金源を、問い合わせ先・公式URLまで一覧化してお届けします。CoConが、現場で奔走する皆さまの背中を、少しでも軽くできる情報になりますように。
目次
なぜフリースクールはお金が回らないのか?
構造的な背景は、ざっくり次の3つです。
公的支援が、まだ”始まったばかり”
フリースクールへの恒常的な公的補助は2024年度以降に本格化したばかり。地域差が大きく、補助対象になっていないスクールも多数。「申請しても通らない/対象施設に該当しない」というケースも少なくありません。
利用料を「家計の限界」に合わせざるを得ない
運営コストから逆算すれば月10万円必要でも、保護者の負担を考えると月3〜5万円が天井。実費の半分しか回収できない構造で、スクール側が毎月の赤字をどこかから補填している運営が多い。
“申請業務”に割けるリソースがない
助成金・補助金は存在しても、申請書類の作成・実績報告・会計監査に膨大な事務工数がかかります。少人数で現場を回している運営者ほど、申請業務に手が回らず、結果として支援に届かない――”支援の二極化”が起きています。
資金源の5本柱
運営者が活用できる資金源は、大きく5つに分けられます。すべてを使う必要はありません。スクールの規模・組織形態・地域に合うものから手をつけるのが現実的です。
① 都道府県・市区町村の運営費補助
2024年度から、都道府県・市区町村レベルでフリースクール運営費補助制度が一気に拡大しています。継続性が高く、最初に着手すべき資金源です。
📍 茨城県「フリースクール連携推進事業」
運営費補助:運営費の半額、1施設上限100万円/年(運営費補助)。授業料等補助は保護者向けに別途。申請窓口は茨城県教育庁。 🔗 茨城県教育委員会 フリースクール連携推進事業
📍 東京都「フリースクール等支援事業」
子供目線に立った取組を行うフリースクール等への活動支援補助(50団体程度)と、利用者向け助成金(月2万円)が両輪。施設向けは生活文化局が窓口。 🔗 東京都 フリースクール等に関連する支援事業について
📍 その他の自治体
千葉県、神奈川県、大阪府、福岡県など、フリースクール認定制度・運営費補助を始める自治体が増加中。「お住まいの都道府県名 + フリースクール 運営費補助」で検索するのが最短ルート。自治体教育委員会の生徒指導担当が窓口です。
② 国・省庁の補助事業
🏛 こども家庭庁「こどもの居場所づくり支援体制強化事業」
地方公共団体が実施する子どもの居場所づくり関連事業への補助。自治体経由でフリースクール等の居場所運営費に充当できるケースあり。 🔗 こども家庭庁 こどもの居場所づくり
🏛 文部科学省 不登校児童生徒支援関連事業
「フリースクール等に通う不登校児童生徒支援調査研究事業」など、研究協力金・委託費としての支援。年度ごとの公募。 🔗 文部科学省 不登校支援関連
🏛 厚生労働省 子どもの居場所づくり・養育支援
地域子供の未来応援交付金、子供・子育て支援交付金など。自治体経由でNPOへ流れるパターンが中心。地元自治体の子ども家庭支援課にあたるのが近道。
③ 公的・準公的な助成金
🌟 独立行政法人福祉医療機構「WAM助成」
社会福祉・地域福祉の課題解決に取り組む民間非営利団体への助成。1団体50〜700万円規模。子どもの居場所づくりも対象。公募は年1回。 🔗 独立行政法人福祉医療機構 WAM助成
🌟 中央共同募金会(赤い羽根)
「赤い羽根福祉基金」「災害・課題解決型助成」など、多様な助成メニュー。子どもの居場所・不登校支援を明示するプログラムも年度により公募。 🔗 中央共同募金会
🌟 日本財団「子ども第三の居場所」
日本財団による大型助成。拠点立ち上げから運営までを伴走支援する仕組み。子どもの貧困や不登校への対応を含む包括的支援。 🔗 日本財団 子ども第三の居場所
🌟 休眠預金活用事業(JANPIA経由)
休眠預金等を原資とした、社会課題解決型の大型助成。子ども・若者支援が重点領域。資金分配団体経由で公募される。 🔗 JANPIA(日本民間公益活動連携機構)
④ 民間財団・企業CSR助成金
🎓 ベネッセこども基金
「子どもの学び支援活動助成」「経済的困難を抱える子どもの学び支援活動助成」など。不登校支援も対象領域。1団体100万円〜。 🔗 ベネッセこども基金
🎓 公益財団法人 ソニー教育財団
教育実践に取り組む団体への助成。新しい学びのカタチを応援する文脈で、フリースクールも対象になり得る。 🔗 ソニー教育財団
🎓 子どもゆめ基金(国立青少年教育振興機構)
子どもを対象とした体験活動・読書活動への助成。体験プログラム・教材費などピンポイントで使いやすい。1団体数十万円規模。 🔗 子どもゆめ基金
🎓 各企業のCSR助成(個別検索を推奨)
楽天モバイル基金、JT NPO応援助成、ファイザープログラム など、多数。“助成金財団 子ども 不登校”などで検索すると一覧サイトに辿り着けます。 🔗 日本NPOセンター(助成情報一覧あり)
⑤ クラウドファンディング・ふるさと納税型
📢 For Good(手数料0%)
プロジェクト掲載手数料0円、決済手数料のみ。支援金が全額運営者に届く仕組み。社会課題解決型のクラファンに特化。 🔗 For Good
📢 READYFOR/CAMPFIRE
最大手のCFプラットフォーム。到達目標額の調整・伴走支援が充実。手数料は12〜17%程度。教育・子ども支援のジャンルで多くの実績あり。 🔗 READYFOR / CAMPFIRE
📢 ガバメントクラウドファンディング(GCF)
ふるさと納税の仕組みを使って、自治体経由で運営費に充当する方法。寄付者は税額控除を受けつつフリースクールを応援できる。自治体の協力が必要。 🔗 ふるさとチョイス GCF
申請を通すための4つのコツ
“組織形態”を整える(法人格があると有利)
多くの助成金はNPO法人・一般社団法人・株式会社などの法人格を要件にしています。任意団体のままだと選択肢が狭まります。可能なら早めに法人化の検討を。
“ストーリー”と”数字”の両方を用意する
利用者の声・卒業生のエピソード(ストーリー)と、利用者数・出席日数・進路実績などの数字。両方が揃うと、申請書の説得力が格段に上がります。日常的に記録を取る習慣を。
“複数の助成”を組み合わせる前提で設計する
一つの助成で全額を賄うのは難しい。「自己資金30%+助成A 40%+助成B 30%」のように、複数の財源で構成するのが現実的。資金計画書には”他の財源”を明示するのが標準。
同業ネットワークに入り、情報を交換する
日本フリースクール協会、オルタナティブスクール・ジャパン(ASJ)、フリースクール全国ネットワークなどの業界団体・地域ネットワークに加入すると、申請のコツや情報が得られます。”申請書のひな型”を共有できる場でもあります。
💡 申請業務に手が回らないとき
中間支援団体(NPOサポートセンター、自治体のNPO推進課、社会福祉協議会)が、申請書類の書き方サポートや、団体運営の相談を無料で受けてくれることがあります。一人で抱え込まず、まず相談してみてください。
問い合わせ窓口・URL一覧
本記事で紹介した制度・支援先の問い合わせ先を、まとめておきます。
今日からの3ステップ
お住まいの自治体の補助制度を1本確認
「都道府県名 + フリースクール 運営費補助」「市区町村名 + 不登校支援 助成」で検索。地元自治体の生徒指導担当に電話で1本相談するのが最短ルートです。
WAM助成・共募・日本財団の公募スケジュールを把握
大型助成は公募期間が年1回。WAM助成は例年12〜1月、共募・日本財団も年度頭〜中盤に集中します。公募開始の3か月前から準備を始める計画で。
業界ネットワーク or 中間支援団体に1か所参加
ASJ、フリースクール全国ネットワーク、日本NPOセンター、地元社会福祉協議会など。“申請の知見が共有される場”に身を置くことが、長期的には最大の資金調達力になります。
あなたの活動の存続が、子どもの居場所を守る
フリースクールの資金難は、運営者個人の頑張り不足ではなく、“社会のしくみが、まだ追いついていない”ことの表れです。けれど、ここ数年で支援メニューは確実に増えてきました。使える制度を一つずつ拾い、組み合わせ、安定運営に近づけていく――。それは、運営者ご自身のためでもあり、何よりそこに通う子どもたちの居場所を守ることです。CoConは、運営者の皆さまの活動の継続を、これからも全力で応援していきます。情報共有・取材・連携、いつでもお気軽にご連絡ください。