わが子の不登校に向き合う日々の中で、ふと気づくと、相談相手も、収入源も、家事も、見守りも、全部ひとりで抱えている。ひとり親家庭にとって、子どもの不登校は、もともと薄かった社会的接点をさらに細くする出来事になりがちです。「弱音を吐く先がない」「夜中の不安を分け合う人がいない」「平日の昼間、誰にも会わずに1日が終わる」――。けれど、頼れる仕組みは、思っているよりたくさん存在しています。問題は、知っているかどうか、そして、頼ることに罪悪感を持たないでいられるかです。今回のコラムでは、ひとり親家庭が”頼れる先のリスト”を作るための、4つの柱を整理します。

“全部ひとりで抱える”という構造

ひとり親×不登校の重なりは、いくつもの負担を一人に集中させます。

よくある声

「相談する相手がいない」
「収入が減るのが怖くて、仕事を休めない」
「夜、子どもの顔を見ながら自分の不安と戦っている」
「実家は事情があって頼れない」
「ママ友はいるけど、不登校の話はできない」

これらの声に共通するのは、“頼れる相手の選択肢が狭い”ということ。両親世帯なら自然と分担されるタスク(家事・育児・収入・相談・意思決定)が、すべて一人の肩にのっている。そこに不登校が加わると、負担の総量と孤独感が、両方とも臨界点に達するのです。

“頼れる先のリスト”4つの柱

頼れる仕組みは、大きく4つに分けられます。すべてを使う必要はありません。自分の負担が一番大きい領域から、1〜2つだけでも繋いでみてください。

① 公的サービス(自治体・厚労省)

ひとり親家庭等日常生活支援事業/ファミリーサポートセンター/子ども家庭支援センター/教育支援センター(適応指導教室)など。多くは申請ベース、利用料は無料〜低額。”知らないと使えない”だけで、ハードルは案外低いです。

② 民間サービス(家事代行・見守り・教育)

家事援助ヘルパー・ベビーシッター・見守りカメラ・フリースクール・オンラインタテヨコ・カウンセリング。有料ですが、自治体の助成・割引券が使えるケースも。”自分の時間を買い戻す”感覚で、月数千円から始められます。

③ オンラインコミュニティ(同じ立場の人と繋がる)

LINEオープンチャット/不登校保護者の会/ひとり親コミュニティ/X(旧Twitter)/note。顔出し・実名不要、隙間時間でゆるく繋がれるのが特徴。物理的に会えなくても、夜中に「わかる」と言ってくれる人の存在は大きい力になります。

④ 公的給付金・優遇制度(家計を支える)

児童扶養手当/ひとり親家庭等医療費助成/就学援助/住宅手当/ひとり親家庭高等職業訓練促進給付金など。“申請しないと損する”制度の宝庫。ひとり親であるという事実だけで使える権利が、意外なほど多くあります。

具体的にどんな制度がある?──主要な”頼れる先”

名前だけだとわかりにくいので、特に押さえておきたい制度を1つずつ簡潔に紹介します。

🏠 ひとり親家庭等日常生活支援事業(自治体)

厚労省事業を自治体が運営。仕事・通院・冠婚葬祭・修学等の事由で一時的に生活援助や保育サービスが必要なときに、家事・育児を担うヘルパーを派遣してくれる制度。料金は所得に応じて無料〜数百円/時間程度(自治体により異なる)。福祉事務所か子ども家庭支援センターが窓口。

👶 ファミリーサポートセンター(ファミサポ)

「子どもを預けたい」会員と「子どもを預かれる」会員を、自治体がマッチングする仕組み。1時間700〜1,000円程度でお願いできます。送迎・短時間預かり・学校外活動の付き添いなど、ひとり親には強い味方。ひとり親優遇価格の自治体も増えています。

💼 ひとり親家庭高等職業訓練促進給付金

看護師・介護福祉士・保育士など、就職に有利な資格取得を目指す期間、月10万円程度の給付が受けられる制度(住民税課税世帯は月7万500円)。子どもの不登校をきっかけに、長く続けられる職に転職するご家庭にとっては大きな助けになります。

💬 LINEオープンチャット(不登校・ひとり親)

匿名・無料で、同じ立場の人と繋がれる場所。「不登校 親」「シングルマザー 不登校」などで検索すると、複数のコミュニティが見つかります。夜中にぼそっと書き込んでも、誰かが反応してくれる環境は、ひとり親家庭にとって精神的な安全弁になります。

🏛 子ども家庭支援センター/福祉事務所

自治体内の“ひとり親窓口の総合受付”のような存在。「何から相談したらいいかわからない」段階で電話するだけでもOK。所得に応じた助成制度、家事援助の手配、心理相談、就労支援まで横断的に案内してくれます。“使える制度を見つけてもらえる”場所として頼れます。

今日からの3ステップ

1

“いま一番しんどい領域”を1つだけ選ぶ

家事?収入?孤独?子どもの見守り?4つの柱のうち、1つだけに絞って、そこから動きます。全部いっぺんに解決しようとすると、結局動けません。「今日は家事援助の問い合わせだけする」レベルで十分です。

 
2

子ども家庭支援センターに、まず電話を1本

「何が使えるか分かっていない」段階でも問題ありません。“ひとり親で、子どもが不登校で、自分が疲弊している”とだけ伝えれば、向こうから使える制度・窓口を一緒に整理してくれます。電話1本で得られる情報量は、想像以上に多いです。

 
3

LINEオープンチャットに、ひとつ参加してみる

「読むだけ」「ROMる」だけでOK。同じ景色を見ている人がいる、と知るだけで孤独は半減します。書き込まなくていい。発言しなくていい。”そこに居場所がある”ことだけで、夜が少し楽になります。

💡 大切な前提

“頼ること”は、弱さではありません。頼り先を増やすことは、お子さんの未来を守るための、戦略的な選択です。ヘルパーに家事を頼んだ時間に、お子さんと並んで座る5分が生まれる。それでいいんです。

“頼ることへの罪悪感”を手放す

ひとり親家庭の保護者の方とお話ししていて、いちばん多く伺うのが、「人に頼っていいのか分からない」「自分が頑張れば済む話なのに」という葛藤です。けれど、お伝えしたいのはこういうことです。

大事なこと

頼ることは、“自分の役割を手放すこと”ではなく”自分が倒れないための設計”です。あなたが倒れてしまったら、お子さんを最後に守るパートナーがいなくなります。だから、頼っていい。むしろ、頼らないと立ち行かないのは、当たり前のことです。

公的サービスは「税金で運営されている、あなたの権利」です。民間サービスは「あなたの時間と心を買い戻す投資」です。オンラインコミュニティは「あなたと同じ景色を見ている人たちの集まり」です。すべて、使っていい、繋がっていいものです

よくある思い込みと、本当の答え

❌ つい思い込みがち

「私が頑張れば、なんとかなる」

⭕ 本当はこう

「私が倒れたら、子どもが困る」。だから、頼る。

❌ つい思い込みがち

「公的サービスは、もっと困っている人のためのもの」

⭕ 本当はこう

税金で運営されている、あなたの正当な権利です。

❌ つい思い込みがち

「相談しても、結局答えは自分で見つけるしかない」

⭕ 本当はこう

話す=整理。一緒に整理してくれる人がいるだけで、半分は楽になります。

あなたは、ひとりじゃない

ひとり親×不登校という、社会の中で見えにくい孤独を抱えているご家庭は、あなただけではありません。今、まったく同じ景色を見ている保護者の方が、全国に何万人もいます。みんな、頼り先を探しながら、夜を越えています。頼れる先を1つずつ増やしていくことは、お子さんを守るためでもあり、何より、あなた自身を守るためです。CoConは、ひとり親家庭が”ひとりにならない”ための情報を、これからも丁寧にお届けしていきます。

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