
神奈川県海老名市に、不登校の小中学生のためのフリースクール「SACHI station(サチ・ステーション)」があります。”スクール”ではなく、あえて”ステーション(駅)”。子どもたちが安心して立ち寄り、安心してそれぞれの”次の場所”へと旅立っていける――そんな想いが、その名に込められています。今回のココラボでは、SACHI station代表の久保美絵さんに、活動への想いや、海老名市でフリースクールを立ち上げた経緯、毎日の活動の特色についてお話を伺いました。
📍 場所
神奈川県海老名市
👦 対象
小中学生
🏫 種別
フリースクール
📋 見学
随時受付中
目次
海老名市のフリースクール「SACHI station」とは?
SACHI stationは、神奈川県海老名市にある、小中学生のためのフリースクールです。私たちは”スクール”ではなく、あえて”ステーション”という言葉を選びました。子どもたち一人ひとりが、それぞれの次の場所へと向かっていくための”駅”のような存在でありたい――そんな想いを名前に込めています。
学校という枠にはまりにくいだけで、子どもたちはみんな本当にかわいくて、特定の分野で驚くほどの集中力を見せたり、独自の感性を持っていたりと、ひとりひとりがとても個性的です。ここで過ごす時間を通じて、彼らがのびのびと自分らしくいられる場所をつくりたいと思っています。

“スクール”ではなく”ステーション”――名前に込めた想い
ステーション、つまり”駅”には、必ず次の行き先があります。私たちは、ここをゴールにしてほしいわけではないんです。安心して立ち寄れて、安心して旅立っていける――そんな”通過点”でありたい、という想いがあります。
ここで何より大切にしているのは、自由と、安心・安全であること。やりたくないことはやらなくていいし、何かを強制されることもない。敷居をできるだけ低くして、まるで家族のような空気感の中で、その日その日を一緒に過ごしています。
ここなら安心して入れて、安心して出ていける――そんな道を、子どもたち一人ひとりと一緒に描いていける場所であり続けたい。それがSACHI stationの願いです。
大切にしていること
🕊 自由
大切にしていること
🛡 安心・安全
雰囲気
🏡 家族のような空気感
スクールの位置づけ
🚉 通過点(駅)

海老名市でフリースクールを立ち上げた経緯
海老名市は人口約13万人の街ですが、これまでフリースクールという選択肢が地域にほとんどありませんでした。学校に行きづらさを感じている子どもたちや、その保護者の方々が”行ける場所がない”ことに困っている――そんな声を耳にして、それなら自分たちでつくろうと動き始めたのがきっかけです。
現在、海老名市内のフリースクールは私たちを含めて3か所まで増えました。少しずつではありますが、地域の子どもたちの選択肢が広がっていることを、日々実感しています。

活動の特色:みんなでご飯を作る”食育プログラム”
SACHI stationの大きな特色は、毎日”みんなでご飯を作る“こと。午前と午後にそれぞれ活動の時間がありますが、その中心にあるのが”食”なんです。
献立は、子どもたち自身で考えてもらいます。”働かざる者食うべからず”ではないですけれど(笑)、買い出し、お皿洗い、お片付け、お掃除まで、すべての役割をくじ引きで担当を決めて、自分たちで回していきます。食育であると同時に、”生活すること”そのものを学ぶ時間でもあります。
買い物のあとには、レシートをもとに計算をして、家計簿をつけることもしています。”今日はこれだけ使ったね””次はもう少し抑えるにはどうしよう?”――そんな会話を交わしながら、お金の感覚も自然と身についていきます。
🍳 食育プログラムの流れ(イメージ)
献立を考える
くじ引きで役割分担
みんなで調理・食事
後片付け・掃除
家計簿をつける
毎週水曜午後は子どもたちが運営する”駄菓子屋”がオープン!
食育プログラムと並ぶ、もうひとつのユニークな取り組みが、毎週水曜日の午後に開かれる「駄菓子屋」です。仕入れ、値付け、店番まで――すべて子どもたちが話し合いながら自分たちで運営しています。
どんな商品を仕入れるか、いくらで売るか、誰が店番をするか――全部子どもたちで決めています。お客さんが喜んでくれる顔を見ながら、自分たちで考えて動く経験が、生きた学びになっているんです。
🗓
毎週水曜日の午後
定期オープン
🛍
仕入れ・値付け・店番
すべて子どもたちで運営
🚪
誰でも入れます
地域の方も大歓迎
👨👩👧
地域で好評
幼稚園帰りの親子連れも
この駄菓子屋はスクールの生徒でなくても誰でも立ち寄れるのが魅力のひとつ。幼稚園の帰りに親子で立ち寄る方や、地域の方々にもすっかりおなじみの存在になっています。
ライターより
取材中、駄菓子屋がちょうどオープンしていました。懐かしい商品が並ぶ棚を前に、気づけば童心に帰って懐かしい駄菓子をカゴいっぱいに買ってしまいました。子どもたちが誇らしそうに店番をしている姿が、とても印象的でした。



子どもたちと過ごす中で感じるやりがい
ここで過ごしている子どもたちは、本当にみんな生き生きとしているんです。”学校にいた時とは様子がまったく違う”と先生方からお話をうかがうこともあって、そういう声を聞くたびに、この活動を続ける意味を強く感じます。
今春、中学進学のタイミングで卒業していった子もいます。小学1年生のころから学校に行けなくなっていた子が、地元の公立中学校へ進学し、しっかりと”次の場所”へと歩み出していきました。私たちにとって、これ以上に嬉しいことはありません。
卒業生の二人は、SACHI stationで音楽を始めてバンドを組み、ライブ演奏を披露してくれることもあります。ここを”駅”として旅立った先で、それぞれが新しい何かに出会い、夢中になっている姿を見せてくれる。本当に幸せな瞬間です。
子どもたちの中から”これがやりたい”という気持ちが芽生えてきたとき、それをそっと後押しできる存在でありたい。少しずつステップを踏みながら成長していく子どもたちの背中を、横から支えていける機関になれたら――そう思っています。
SACHI stationを検討中の保護者・子どもたちへ
卒業していく子どもたちには、いつもこう伝えています。『ここのことは、忘れてしまっていいよ』と。次の場所では、後ろを振り返らずに、ただ前と上だけを見ていてほしいから。
でも、本当にしんどくなった時は、いつでも戻ってきていいんだよ、とも伝えています。元気を出したいなと思ったら、いつでも戻っておいで。きっと、そう思うときは自分自身がしんどい時のはずだから――そんな約束を、子どもたちと交わしています。
今、SACHI stationでは、小中学生の利用者を募集中です。見学も随時受け付けていますので、『うちの子に合うかな?』と気になっている保護者の方は、ぜひ一度足を運んでみてください。実際の空気感を感じていただくのが一番だと思います。
「ここのことは、忘れてしまっていいよ。
でも、本当にしんどくなった時は、
いつでも戻ってきていいんだよ。」
インタビューを終えて
“スクール”ではなく”ステーション”――その言葉ひとつに、子どもたちの未来へのまなざしが凝縮されているように感じました。『ここのことは忘れてしまっていい。でも、しんどくなったらいつでも戻っておいで』――これほど深い愛情と信頼に満ちた送り出し方があるでしょうか。海老名市という街に、子どもたちが安心して立ち寄り、安心して旅立っていける”駅”が灯っていること。それは、地域にとっても、子どもたちにとっても、本当にかけがえのないことだと感じました。SACHI stationがこれからも、たくさんの子どもたちにとって”次の場所へ歩み出す勇気”をくれる場所であり続けますよう、ココンも心より応援しております。