お子さんが学校に行けなくなったとき、家庭の関心はどうしてもその子一人に集まりがちです。けれど、その陰でもう一つ、静かに起きていることがあります。それがきょうだいへの”飛び火”。下の子(あるいは上の子)が「ずるい」と言い出したり、逆に手のかからない”良い子”を過剰に演じはじめたり――。この記事では、その背景と、きょうだい一人ひとりの心を守るための関わり方を整理します。

不登校の影は、きょうだいにも”飛び火”する

不登校支援の現場で、保護者の方からこんな声をよく耳にします。

保護者の声

「上の子のことで頭がいっぱいだったら、下の子が急に『お兄ちゃんばっかりずるい』と泣き出して…」 「逆に下の子が、聞き分けが良すぎるくらい良い子になって。それはそれで、なんだか心配で」

きょうだいへの”飛び火”は、大きく分けると正反対に見える二つのパターンで現れます。

パターン①:「ずるい」と訴える子

「お兄ちゃんは学校に行かなくていいのに、なんで自分は行かなきゃいけないの?」「ゲームも自由、ずっと家にいられて、ずるい」――。親の関心と時間が一方に集中していることを、子どもは敏感に感じ取ります。「ずるい」という言葉の奥にあるのは、たいてい「自分も同じだけ見てほしい」というサインです。

パターン②:過剰に”良い子”を演じる子

こちらは一見、手のかからない”いい子”。「自分まで手をかけさせたら、お母さんが大変だから」「これ以上、家の空気を悪くしたくない」と、子どもなりに家庭の状況を読んで我慢している状態です。問題が表に出ないぶん見過ごされやすく、本人のしんどさが後から一気に噴き出すこともあります。静かであることは、必ずしも”大丈夫”ではありません。

なぜ”飛び火”は起きるのか

きょうだいへの影響には、いくつかの共通したメカニズムがあります。

1

親の関心・時間が、どうしても一方に集中する

学校や先生とのやり取り、本人のケアで、親のエネルギーは不登校の子に向かいがち。残されたきょうだいは「自分は後回し」と感じ取ります。悪意のない、ごく自然な偏りだからこそ気づきにくいのです。

 
2

「家族」という大きなくくりで見られてしまう

家庭の話題が「うちの子(=不登校の子)どうする問題」一色になると、ほかの子は“その他大勢”になってしまいます。一人ひとりが、別々の人生・別々の気持ちを持った”個”であることが、見えづらくなります。

 
3

子どもなりの”遠慮”と”我慢”

「これ以上、親を困らせたくない」――子どもは大人が思う以上に空気を読みます。本当は甘えたい、不安だ、という気持ちにフタをして、”いい子”の鎧を着てしまう。これが②のパターンの正体です。

求められているのは「公平」ではなく「あなただけの時間」

「ずるい」と言われると、親はつい“公平にしなきゃ”と考えます。同じだけ買い与える、同じだけ叱る、同じだけ褒める――。でも、きょうだいが本当に欲しがっているのは、“平等な量”ではなく、”自分だけに向けられた時間”です。

ポイント

「みんな一緒に」「家族で」ではなく、「あなたと、わたし」の時間を分けて持つこと。きょうだいを”家族”という塊で扱うのではなく、一人ひとりを独立した”個”として向き合う――これが飛び火を防ぐ最大の鍵です。

5分でも、10分でも構いません。「今は、あなただけを見ているよ」という時間が確かにあること。それだけで、子どもは「自分も大切にされている」と感じ、無理に「ずるい」と訴えたり、”良い子”を演じたりする必要がなくなっていきます。

今日から始められる3つのステップ

1

一日5分、”あなた専用の時間”を意識的に作る

寝る前の数分、送り迎えの車の中、おやつのひととき――短くていいので、そのきょうだいと一対一で過ごす時間を予定として確保します。「ついで」ではなく「あなたのための時間」だと、子どもに伝わる形で。

 
2

「家族」ではなく「個」で声をかける

「みんなで」「家族で」だけでなく、「○○は、今日どうだった?」とその子の名前で、その子だけの話を聞く。きょうだいの話題(=不登校の子の話)を経由せず、その子自身の好きなこと・友達・興味に、まっすぐ関心を向けます。

 
3

下の子の”良い子”を、当たり前にしない

我慢している”良い子”には、「いつも助かってるよ」「無理してない?」と、その頑張りを言葉にして返してあげてください。我慢が”当たり前”として扱われると、子どもは行き場を失います。気持ちを吐き出せる隙間を、意識的に開けておくことが大切です。

💡 ワンポイント

「ずるい」と言われたら、否定も説得もせず、まず「そう感じてたんだね」と受け止めるだけでOK。正しさで返すより、気持ちを受け取るほうが、ずっと早く落ち着きます。

やってしまいがちなNG対応

良かれと思っての対応が、かえって飛び火を強めてしまうこともあります。よくある例を、おすすめの対応と並べてみます。

❌ つい言いがち

「お兄ちゃんは今しんどいんだから、あなたが我慢して」

⭕ おすすめ

「あなたにも、あなただけの時間をちゃんと作るね」

❌ つい言いがち

「あなたはしっかりしてるから、大丈夫だよね」

⭕ おすすめ

「しっかりしてくれてるけど、無理してない?甘えていいよ」

⚠️ 見落とし注意

“手のかからない子”ほど、サインが見えにくいもの。問題を起こさない=心が満たされている、ではありません。静かな子こそ、こちらから時間を差し出す意識を持ってください。

まとめ:「家族」より「個」で育てる

不登校は、その子だけの出来事ではなく、家庭全体の空気に影響します。だからこそ、きょうだい一人ひとりを「家族」という塊でひとくくりにせず、それぞれを独立した”個”として、別々に向き合う視点が大切になります。

「ずるい」も「良い子」も、根っこは同じ――「わたしも、ちゃんと見ていてほしい」。一日5分の”あなた専用の時間”が、その願いに静かに応えてくれます。今日の夜、ぜひ下の子(上の子)と、二人だけの数分間を持ってみてください。

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