【書籍紹介】35万人時代に問い直す、子どもたちの「安心」と「未来」――『不登校を見つめ直す32の問い』
不登校。その言葉の背景には、35万人という数字以上に、一人ひとりの子どもたちの葛藤と、それを見守る大人たちの「どうあればいいのか」という切実な願いがあります。
今回ご紹介するのは、2026年1月27日に刊行された『不登校を見つめ直す32の問い 安心して通える学校って?』。長年、不登校というテーマに向き合い続けてきた森万喜子先生と千葉孝司先生による、心に深く響く一冊です。
いま、私たちが向き合うべき「問い」のバトン
文部科学省の最新調査(2025年)では、不登校の児童生徒数は過去最多の35万人を超えています。増加し続ける現状を前に、今、社会全体に求められているのは、単なる対策ではなく「学校、地域、そして大人のあり方」そのものを問い直すことではないでしょうか。
本書は、そんな私たちに「32の問い」を投げかけます。 「いつから学校は不寛容になったのか?」 「大人が『大丈夫!』と言うために必要なことは?」 一つひとつの問いを読み進めるうちに、凝り固まった視点が解きほぐされ、子どもたちの個性をしなやかに支えるためのヒントが見えてきます。
先生だけでなく、保護者の方、地域で活動される方。子どもの未来を願うすべての方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。



■著者コメント
もういいかげん 苦しくても辛くても我慢するとか くやしさや恥ずかしさに耐えるとか 人と比べられる、自分はダメだと思うとか そんな場をつくるのはやめよう。 35万人の子どもたちの辛さや苦しさを 他の理由とすり替えるのはやめよう。 苦しんでいる子どもも親も 希望をもって明るく一歩踏み出してほしい。 あなたが生まれた時のウェルカムはいくつになってもそこにある。 ゆっくり休んで、寝て食べて、ゆるりと日向ぼっこをするような気持に なってほしいという願いで書きました。 あなたのままでいいんだよ。って言葉をかけたいの。 ―――森 万喜子
学校に行けないとき、子どもの心身は過緊張ですくんでいる状態です。 そこには学校文化と子どものミスマッチによる不安や負担も影響しています。 大人が「甘えだ」という目を向けると子どもの緊張はさらに高まります。子どもや家庭を責めず、環境を見直すことが大切です。 森先生と共に、安心して通える学校や子どもを支える地域のあり方について考えました。冷たい風ではなく、太陽のようなまなざしが広がることを願っています。 ――――千葉孝司
■著者プロフィール
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森 万喜子(もり・まきこ) 元北海道公立中学校校長。執筆活動や全国での講演の他、文部科学省DX戦略アドバイザー(2023~)、文部科学省CSマイスター(2024~)、青森県教育改革有識者会議副議長。著書に『「子どもが主語」の学校へようこそ!』(教育開発研究所)、『学校と社会をつなぐ! これからの人づくり・学校づくり・地域づくり』(学事出版)などがある。
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千葉 孝司(ちば・こうじ) 元北海道公立中学校教諭。ちばTラボ代表。ピンクシャツデーとかち発起人代表。いじめ防止や不登校対応に関する啓発活動に取り組む。著書に『令和型不登校対応マップ ゼロからわかる予防と支援ガイド』『令和型いじめ解決マップ ゼロからわかる予防と対応ガイド』(以上、明治図書出版)などがある。
■目次
はじめに
第1章 安心して通える学校ってどんな場所?
もっと温かさを/今まで大丈夫だったのに……/子どもの命を守るために/誰かに会いに行きたくなるように/私がフィットする場所はあるか/靴に足を合わせることはできない/特異な才能をもつ子どもたちは宝/世の中を嫌いにならないように
第2章 不登校を見つめ直す32の問い
【1 教師と子どもの不安】
問1 学校は不登校の子どもとどう向き合っているのでしょう?
問2 子どもの休みが続くとどうして不安になるのでしょう?
問3 ゆっくり待つことがなかなかできない空気ってなんだろうね?
問4 大人が子どもと接するときに忘れてはいけないことは何でしょうか?
【2 学校という組織】
問5 いつから学校は不寛容になったのでしょう?
問6 管理職が寛容になるために、どんなことが必要でしょうか?
問7 学校の対立構造、感じませんか?
問8 令和の職員集団はどうあれば良いでしょう?
【3 子どもの権利】
問9 子どもの最善の利益って何でしょう?
問10 不登校に対する決めつけを大人がしてしまうのはどうしてでしょうか?
問11 子どもが権利を当たり前に使えるようにするためにはどうしたら良いでしょう?
問12 子どもの自己決定を尊重するためには何が必要でしょうか?
【4 大人のあり方】
問13 まるごと子どもを受け入れるにはどうすれば良いでしょう?
問14 子どもが自分の気持ちを表現するために大切なことは何でしょうか?
問15 教室の心理的安全性を高めるにはどうすれば良いでしょう?
問16 子どもを笑顔にするにはどうしたら良いでしょうか?
【5 不登校の子どもたちの将来】
問17 「大丈夫?」より、「大丈夫!」と言えるにはどうすれば良いでしょう?
問18 不登校の子どもたちは卒業後、どうなるのでしょう?
問19 子どもの可能性に寄り添うにはどうすれば良いでしょう?
問20 子どもたちを守るために大人ができることは何でしょうか?
【6 地域社会と不登校】
問21 大人は子どもたちが生きる社会の多様性を歓迎しているのでしょうか?
問22 地域社会が不登校の子どもを支えていくためには何が必要でしょうか?
問23 子どもに対して柔軟な地域をつくるためには何が必要でしょうか?
問24 学校は地域社会に対して、どんな働きかけをしていけば良いのでしょう?
【7 教室アップデート】
問25 教室が伝統的な価値観から脱するためには何が必要でしょうか?
問26 教室がアップデートしていくために、教師はどんな働きかけをしていけば良いのでしょう?
問27 子どもが自分らしくいられる教室には何が必要でしょうか?
問28 今の教室は、どう変わっていけば良いのでしょう?
【8 一人の大人として】
問29 「先生、ちゃんとさせてください」をミュートするには何が必要でしょうか?
問30 職員室が子どものSOSに敏感になるには、どうすれば良いでしょう?
問31 怖れを子どもにぶつけない大人であるためには、何が必要でしょうか?
問32 大人が学校から離れて、子どもに伝えるべき言葉は何でしょう?
第3章 座談会 森万喜子×千葉孝司×小川洋輝×増渕広美 これからの学校、 地域、社会は、どうあれば良い? これからの学校は、どうあれば良い?/不登校とジェンダー/家庭と学校の連携/地域と学校の連携/不登校の子ども、大丈夫!/社会的自立のとらえ
おわりに

■書籍情報
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書名:『不登校を見つめ直す32の問い 安心して通える学校って?』
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著者: 森万喜子・千葉孝司
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定価: 2,200円(税込)
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発行: 学事出版
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CoConからのメッセージ
「学校に行かない」という選択をした子どもたちが見つめている景色は、決して暗いものだけではありません。そこには、今の社会や学校が、もっと優しく、もっと自由になれるための大切なヒントが隠されているのだと、本書を読んで改めて強く感じました。
「あなたのままでいいんだよ」というメッセージが、冷たい風に吹かれている誰かのもとへ、太陽の光のように届きますように。

