不登校問題についての情報サイト。不登校の原因や対策について学ぶ。

【愛知県豊田市】フリースクール「Tao Haus」運営者・信田雄一郎さんにインタビュー!

既存の学校教育が合わないけれど、「自分の好きなことや、やりたいことを追究したい!」という子どもたちのために、愛知県豊田市で新しい学びの場を提供する、「Tao Haus」。保護者から「子どもが元気を取り戻せた」と評判のフリースクールです。今回はそんな「Tao Haus」運営者・信田雄一郎さんにインタビュー。なんと、信田さんは、スクールを開設するために、ニュージーランドの小学校や中学校に視察に行ったほどの熱い情熱を持った方です!教育にかける熱い思い、スクールの魅力を、ぜひチェックしてみてくださいね。

 

名鉄・豊田市駅から徒歩2分!市外からもアクセス抜群のフリースクール「Tao Haus」

出典:Tao Haus

 

「Tao Haus」は名鉄・豊田市駅から徒歩2分、愛環・新豊田駅からも徒歩5分の場所にあります。そのため、豊田市はもちろん、名古屋市や岡崎市など市外からも通学しやすい、利便性の高いロケーションです。また「豊田市中央図書館」が直線距離で約20mのところにあり、学習環境としても恵まれています

 

 

活動内容は十人十色!子どもの興味や関心に応じた“学びの場”

出典:Tao Haus

「Tao Haus」では、子どもの自主性を尊重し、以下のような活動を行っています。

 

◆哲学対話、ボードゲーム、カードゲーム
◆昼食づくり
◆スクール外での活動
◆職場体験学習
◆子どもの興味を活かした個別探究学習、全体での探究学習

 

さまざまな活動を通して、自ら考える力や、コミュニケーション力などを養います。学びの場はスクール内だけにとどまらず、街全体!「My town is My school(私の街は私の学び場である)」という考えのもと、大学の授業に出かけたり、魚屋さんで話を聴いたりと、多彩な学習が行われているのが魅力です。

 

 

魅力の秘訣はニュージーランドの教育!?運営者さんにインタビュー!

ここからは、「Tao Haus」の運営者・信田雄一郎(のぶた ゆういちろう)さんに、スクールの魅力を伺いましょう。

 

【信田雄一郎さん プロフィール】

「Tao Haus」運営者。公立中学校教員として、熱意を持って教育に携わってきたが、年々全国的に不登校児童生徒が増えていることに疑問を持ち、一念発起。新たな教育の場として、フリースクール「Tao Haus」を開設。

 

 

フリースクール「Tao Haus」設立のきっかけは?

(信田さん)「もともと、中学校で働いていたときは、子どもたちに夢や希望が持てるきっかけを提供したいと思い、いろんな取り組みをしていたんです。その一つに、ニューヨークで活躍しているプロのダンサーを講演会に呼ぼうと考えました。そのために、クラウドファンディングで50万円を集めようとしたんです

 

でも、校長先生からは『前例がないから』『(派手な見た目の)ダンサーはちょっと…』って反対されて。校訓には『自主・自立』と書いているのに、現状が全然違いますよね。将来、僕が校長になったら、学校全体を変えられるのかもしれないって思いましたが、20年も待てないと思って。それで、Tao Hausを作ることになりました」

 

――Tao Hausが開設されたのは2022年。それまで、豊田市には約1,000人の不登校児童・生徒がいるにも関わらず、フリースクールはほとんどなかったそう!そこで、「教育の新しい価値を創造する」という理念のもと、第2の学び場として「Tao Haus」の設立に至ったと言います。

 

 

 

フリースクールの特徴やニュージーランド訪問が活かされているところは?

 

(信田さん)「知り合いから『フリースクールを作るなら、ニュージーランド(NZ)の教育を見においで』と言われて、2022年夏に1ヶ月ほどNZへ行きました。そこで、小学校を見学に行くと、算数の授業中に寝転びながら参加する子や、食パンを食べている子がいたんですよ(笑)

小学校の算数の授業

 

「日本だったら有り得ないですよね。でも、それを先生も子どもたちも『変だ』『ちゃんとしろ』って言わないんです」

 

――驚きの光景ですね!なぜそんなスタイルが受け入られているのでしょうか?

 

学校の掲示物「Mistakes grow my brain.(失敗は脳を成長させる)」

 

「NZでは、小さなことは気にしないし、失敗も成長のひとつとして捉えています。学校に掲示されていた『Mistakes grow my brain.』とは、『失敗は脳を成長させる』という意味で、5歳からそう教えられているのです。だから、あの子たちからすれば、授業中に寝転がるのも、食パン食べるのも、気にするほどのことではないんでしょう」

 

――またNZでは幼少期から『Take responsibility for your own learning(自分自身の学習に責任を持ちましょう)』と教えていくのだとか。どんな学習姿勢も、すべては自己責任。だから、細かいことは何も言わないのですね。

 

「そんなNZの教育現場を見て、僕も子どもと接するときは、細かいことは何も言わないようにしようと決めました。たとえば、『ハヤシライスのニンジンってどう切ればいい?』って聞かれても、教えません。

分厚く切り過ぎて、火が通らなければ、『次からは薄く切ろう』とか『もっとしっかり煮込もう』と学びになりますよね。すべての失敗が教材で、学びにつながるからこそ、教え過ぎないことが大切だと思っています」

出典:Tao Haus

 

――「教え過ぎない」ようにすることで、子どもたちは大人にすぐ答えを聞くのではなく、本やスマホで調べたり、子ども同士で話し合ったりして、方向性を決めることが増えたそう。あれもこれもとサポートし過ぎないことで、子どもたちの自主性が身に付いているのでしょう

 

 

「Tao Haus」はどんな子どもが利用していますか?

 

(信田さん)「現状として、学校が合わない、もしくは学校に行けないと落ち込んでいる子や保護者の方々から面談希望を受けることが多いです。ただ、そういった消去法でフリースクールを選ぶよりも、積極的に『フリースクールに行きたいから行く!』という姿勢の方が良くて。入学に至る子は、そういう前向きな姿勢で入ってきています

 

現在(2023年5月時点)は、4人の小中学生が利用しています。面談は60人以上やりましたが、『Tao Hausが楽しすぎて、もっと学校に行きたくなくなるかも』って来るのをためらう子もいて…」

 

――楽しすぎるから怖い、苦しまないと実にならない、という意識が刷り込まれているんですね。

 

「でも、そんな子にも『こうした方がいいよ』ととやかく言うことはありません。Tao Hausに通う意思が固まったら、いつでもおいで、と声をかけています」

 

――Tao Hausに通うことも、すべてはTake responsibility。自分で考えて、決断し、責任を持てるようにするためなのですね。

 

 

 

フリースクールとして、学校や市との連携は?

出典:Tao Haus

 

(信田さん)「『Tao Haus』に来ることで、豊田市立の小中学校では出席扱いになります。子どもの出席日数が気になる保護者にとっては、安心できる材料なのではないでしょうか」

 

とはいえ、まだまだ豊田市以外では、フリースクールを出席認定するかどうかは意見が割れているそう。ただ、出席日数にこだわり過ぎず、「主体性を身に付けて、自分で人生を切り開いていってほしい」と信田さんは語ってくれました。

 

 

 

フリースクール運営で感じたやりがいは?

 

(信田さん)「先日、ある教育大学に行く機会があって、その話をしたら、『僕も行きたい』って子どもが言ってきたんです。それで、『じゃあ一緒に行こうか』となりまして、三日後には実現していました

 

――そんなにすぐに実現しちゃったんですか!?大人になると、何かと周りの目を気にしてしまいますが、その瞬間の子どもの気持ちを優先して動かれたんですね。

 

「大学側も特に気にする様子はなく、むしろ大学の講師の方が『せっかくだから前に出て話して』と促してくれて、大学生50人を前に、その子が話をしたんです

教育大の授業なので、大学生たちも『生の小学生の声が聴けてよかった』『神回になった』と言ってくれたんですよ」

 

――計画的なカリキュラムはないからこそ、そのとき、その瞬間の子どもに合った学びを提供できる。それが子どもの自信につながるだけでなく、相互に良い影響を与え合っているんですね。

 

 

 

フリースクール運営のなかで感じた大変さは?

 

(信田さん)「さっき話したような、自由に、瞬間的かつ臨機応変に作りあげる学習スタイルが理解されないことですかね。『ほんとにできるの?』と思われてしまうんです。大人はすぐに『計画は?』と聞いてきますが、やりたいと思ったときが一番熱いですよね。鉄は熱いうちに打てという言葉がある通り、その瞬間にやることに意味があると、僕は思っています」

 

 

「Tao Haus」を利用している保護者の反応はどうですか?

(信田さん)学校では鬱々としていた我が子が元気になった、とよく感謝されます。以前、魚がとても好きな子がいて、『そんなに好きなら魚屋さんに行ってみようよ』と声をかけて、地域の魚屋さんに一緒に行ったんです。店員さんも快く受け入れてくれて、魚のさばき方を教えてくれました。

その子の保護者も『そんなにすぐに我が子が言ったことが実現するとは思わなかった』って驚いていましたね(笑)」

 

――自信を失っていた子どもたちが、「Tao Haus」での活動によって元気を取り戻していくのは、見守っていてとてもうれしい部分ですね。

 

 

 

CoConとの連携に期待することはなんですか?

 

(信田さん)「『Tao Haus』での活動や、僕が思い描いている理想の教育を『いいですね』と理解してもらえる面積が日本の中では限りなく小さいと思っていて。(Tao Hausのような)自由な学びっていいよねと思う人が増える、面積を増やすような働きかけが一緒にできればと思っています。

たとえば、CoConのようなオンライン家庭教師だとしたら、『リアルが無理だからからオンラインなんでしょ』って偏見がありますよね。そんな世間のマインドセットを少しずつ変えていきたいですね」

 

――2022年時点で、全国の小・中学校における不登校児童生徒数は約24万人。保健室登校や遅刻・欠席の多い不登校予備軍は、約33万人にのぼります。これだけ多くの子どもたちや保護者が悩んでいるなら、それに応じた手立てを変えていくことはとても重要ですね。

 

 

これからの目標を教えてください

(信田さん)小さなことは気にしない、実現不可能そうなこともやればできる、というのを周りに伝えていきたいです。ただ、人を変えるは難しいので、僕自身が行動するしかないと思っています。まずは企業からお金を集めてフリースクールを増やせるように、プレゼンテーションの準備をしています」

 

――協賛企業として、信田さんの頭にあるのはトヨタ自動車。「Tao Haus」がある豊田市の大企業です。2022年版の『CSR企業総覧(ESG編)』によると、トヨタ自動車は187億円を社会貢献事業に充てており、業界ではトップクラスの支出額!なんと、コロナ前の2017年には250億円を社会貢献事業に充てていました。

 

「トヨタの社会貢献事業に充てるお金の使い道は、大半が人材関係なんです。僕と組んだら、『愛知県の不登校がゼロになります!』ってくらいの青写真を描けるように、チャレンジを重ねていきたいと思っています」

 

――世界的にも大企業であるトヨタから資金を募る。壮大な計画に見えますが、信田さんなら実現できそうな予感がします。

 

 

「Tao Haus」で子どもが輝きを取り戻す

愛知県豊田市のフリースクール「Tao Haus」は、その瞬間の子どもの気持ちを大切にしてもらえる場所です。また、出席認定も受けているため、「学校には通うのは難しいけど、出席日数は気になる」という方にとって最適な学びの場ではないでしょうか。少しでも「Tao Haus」が気になった方は、ぜひ公式サイトやSNSをチェックしてみてくださいね。

 

【Tao Haus】

所在地  愛知県豊田市
※正確な場所は面談時にお伝えします
アクセス 豊田市駅から徒歩2分
新豊田駅から徒歩5分
公式サイト https://note.com/nobuta314/n/ne7c0c16aa4b8
Twitter https://twitter.com/nobuta314
Instagram https://www.instagram.com/nobuta314/
Facebook https://www.facebook.com/nobuta.yuichiro
問い合わせ先 speedtiger34g@gmail.com

 

▼関連記事はこちら

不登校の児童・生徒にオススメの学習サービス【ココン編】

「子どもがゲームばかり。勉強に置いていかれるんじゃないか」——不登校のトビラ#2

【前編】運転士さんは「元・不登校」——不登校体験から学んだ生きる力―― 小田急電鉄株式会社・運転士 別所尭俊