「不登校のトビラ」第二回では、不登校の専門家が「子どもとゲームとの付き合い方」をテーマに、トークセッションを行いました。
この記事では、イベント内「昼夜逆転生活になっているけれども、普通の生活に戻れるの?」というセクションを記事化しています!
ぜひこの記事からチェックしてみてください。
目次
▼登壇者
一般社団法人 楽習楽歴代表理事
蓑田雅之さん
コピーライター。
「東京サドベリースクール」の元保護者であり、現在は評議員を務める。
子どもがオルタナティブスクールへ通うようになり、従来の学校教育のあり方に疑問を持ち、教育分野の研究に着手。
自立した人間を育てるための保護者のあり方を探求するとともに、企業や保育園・幼稚園で不登校にならないための予防薬「おはなしワクチン」の活動を続けている。
◆蓑田さんの著作『「とりあえず、ビール。」で、不登校を解決する』
NPO法人 自由創造たんぽ代表理事
米澤美法さん
NPO法人 自由創造ラボたんぽぽ代表。心理支援カウンセラー。子育て支援員。
息子の不登校の経験と、自身の海外での生活や仕事の経験から、日本で窮屈さを感じる子どもたちが自分らしく生きるために、「常識」にとらわれない幸せな生き方のサポートに目覚め、湘南エリアで活動中。
レギュラーワークは図書館。本と音楽とちいかわとMARVELをこよなく愛する。
昼夜逆転生活になっているけれども、普通の生活に戻れるの?
蓑田:これも不登校あるあるですね。
米澤:あるあるですね。
蓑田:どうしても学校に行かずにゲームとかやってると、夜遅くなって朝起きれなくなって……となるんですけど。本人が何かやりたいことがちゃんと出てきたら、自然と変わっていきます。
米澤:そうなんですよね。
蓑田:でも昼夜逆転は、親としては結構苦しいと思うんですよ。なぜなら、1年2年って続くと「本当に大丈夫かな」「このままずっといくんじゃないかな」っていうふうに思っちゃう。だけど、ほとんどの場合、それは戻ってきます。
米澤:戻りますね。
蓑田:これはゲームの話だけじゃなくて「どれだけ自分の人生をその子が考え始めるか」ということとすごく結びついています。「このままじゃ駄目だろう」って自分が思うことが最も大切なんです。
僕の知り合いにももう数年間昼夜逆転が続いた子がいました。その子の親は無理やり昼夜逆転を解消しようとさせないで、温かく見守っていったら、ようやく高校生ぐらいの年齢になって、バイトを始めた。
バイトを始めると、朝起きなきゃいけない。朝って言っても11時ぐらいなんだけど、そこから3~4時間バイトするようになったんだそうです。
それはやっぱり「このままじゃいけないからバイトでもしようかな」っていうふうに子ども本人が思って解消していくものなんです。それに、昼夜逆転が必ずしも悪いっていうことでもないんですよね。
米澤:そうですよね。よく私達もフリースペースのお母さんたちと話すんですけど、昼夜逆転もみんななんか回り回って、なんとなく昼夜逆転じゃなくなる時期とかが出たりする。
蓑田:そうそうそうそう。
米澤:結構波があるんですよね。
蓑田:ずれを面白がってる人もいて。「一時間ずつずれていくから、いつの間にか正常に戻ってる時期がある」と言っている親御さんもいるんですよ。
そういうふうに面白がっている親御さんのところは、いつか「昼夜逆転のままではまずいだろう」って子ども自身が気がついて、何か始めたりしたりする。
親があんまり心配になって無理やり日常の生活に戻そう戻そうとすると、親との子どものコミュニケーション、関係性ってのが悪くなってるんですよね。
せっかく自分が昼夜逆転で安心して過ごせてるようになってるのを「またこいつら無理やり元に戻そうとするのか」「また無理やり学校に行かせようとするのか」「また俺に勉強させようとするのか」と。そういう関係性になる方がむしろデメリットが大きい。
米澤:ですね。
蓑田:だから親としては、ただ見守るというのは苦しいと思うんですよ。
でもそこはやっぱり「子供を信じる」。「子供が子供の自分のことを考えるようになること」が一番大切であって、そのためには親が先回りしていろんなことをやっちゃうと、子どもは反抗しかしないです。
米澤:本当にそれです親は手を出さないのが一番ですよね。
蓑田:親が手を出さないと、本人が不安になってくる。
「このままで俺人生大丈夫かな」っていうふうに本人が不安になることが実は大切で、親がいつまでも先回りすると「うるせえな」「なんで俺を支配しようとするんだ」っていう方にばっかり子どもの意識がいってしまう。子どもの意識が自分の人生に向いていかないんです。
だから、なにが大切かっていうとやっぱり「子供が自分のことを考えていくこと」。
だからそれはゲームの話だけじゃないんですけど、昼夜逆転も含めて、「お子さんがまず自分のことを心配する状況」っていうのが、実は必要なんですよね。
米澤:本当にそう思います。
うちの子も不登校でしたが、最初の頃の一番大変な時期は、昼夜逆転に当然なって……私もそのときが一番つらかったんですけど。
でもやっぱり自分の子のいいところを知っているのは親じゃないですか。だからつらくても、「この子は絶対大丈夫」「信じ切ろう」と自分に言い聞かせて、信じて任せていたんです。
やっぱり大抵の子は中3になると、もう義務教育が終わるから、そのときがターニングポイントになって、進路や自分はこの先どうしようということを大抵の子は考えるんですよね。
そのとき、うちの子にもそういう話……「こんないろんな道があるよ」っていうのを自分で考えてもらえるように話をしていました。親は基本口出さないっていうようにしていました。
そうしたら、本当に一言だけ、息子が言ってくれたのが「自由にさせてくれてありがとう」って。もうなんかその一言だけで……。
蓑田:努力が報われますね……。
米澤:そう。息子を信じて頑張って、報われたなと思いましたね。
でも本当にうちに限らず、ほとんどの家庭の方は、お子さんを信じて任せてると、自分で自分の進路を考えて、進学をするんだとしても昼夜逆転ってそのときにちゃんと直っていくんで、大丈夫です。
蓑田:大丈夫です。どうしても親は心配になっちゃうんですよね。それはお子さんを愛してる証拠。でもそれでなにかをさせたいとか、自分の思うような形にしていきたいっていうふうに合わせると、逆効果になっていくんです。
だから、すごく遠回りのように見えて、実は「本人を信じて見守る」。それをやった方が結果的にはいい方にいくケースがほとんどです。親としては胆力を要することなんですけどね。
米澤:自分の心、親の心との戦いですよね。子どもの心配をしすぎてる自分との戦い。心配を手放すことに向き合う自分ですかね。
不登校のトビラ 第2回「子どもとゲームとの付き合い方」
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次回開催もお楽しみに!
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