「不登校のトビラ」第二回では、不登校の専門家が「子どもとゲームとの付き合い方」をテーマに、トークセッションを行いました。
この記事では、イベント内「ゲームで子どもの言葉や態度が乱暴になるのでは?と心配です」というセクションを記事化しています!
ぜひこの記事からチェックしてみてください。
目次
▼登壇者
一般社団法人 楽習楽歴代表理事
蓑田雅之さん
コピーライター。
「東京サドベリースクール」の元保護者であり、現在は評議員を務める。
子どもがオルタナティブスクールへ通うようになり、従来の学校教育のあり方に疑問を持ち、教育分野の研究に着手。
自立した人間を育てるための保護者のあり方を探求するとともに、企業や保育園・幼稚園で不登校にならないための予防薬「おはなしワクチン」の活動を続けている。
◆蓑田さんの著作『「とりあえず、ビール。」で、不登校を解決する』
NPO法人 自由創造たんぽ代表理事
米澤美法さん
NPO法人 自由創造ラボたんぽぽ代表。心理支援カウンセラー。子育て支援員。
息子の不登校の経験と、自身の海外での生活や仕事の経験から、日本で窮屈さを感じる子どもたちが自分らしく生きるために、「常識」にとらわれない幸せな生き方のサポートに目覚め、湘南エリアで活動中。
レギュラーワークは図書館。本と音楽とちいかわとMARVELをこよなく愛する。
小4です。朝支度ができたら30分、登校したら1時間、ゲームを解除しています。もっとたくさんさせてもいいかなとも思うのですが、保育園生の弟が時間がなくて朝しかできないこと、小4の子がゲームしたと弟に言ってしまいがちで、弟も保育園行きたくないとなってしまうので踏み切れません。
蓑田:
なるほど。小4の朝支度ができた30分、ゲームをやっていいってことですかね。
米澤:
こういうのはね兄弟のいる家のこのゲーム問題って難しいです。
やっぱりお兄ちゃんがいる家庭って必然的に生まれた頃からゲームがあるので、しょうがないと言えばしょうがないんですよね
蓑田:
兄ちゃんが不登校になると、弟もとか妹もなるっていうケースも多いですよね。多分制限が外れちゃうんでしょうね。不登校に対するハードルが低くなるっていうか、お兄ちゃんもやってんだから私だって学校行きたくない、みたいなことになるんだと思うんだけど。
制限って、だけどどうなんですかね。
米澤:
やっぱり下の子が保育園だから気になるんだろうなと思うんですけど。制限をずっとかけてるおうちとかもありますけど、基本的には制限しない
蓑田:
気持ちに任せるのがいいかなと思いますよ。
本人と話し合って、本人の気持ちゲームをやりたいという思いとかを、ネガティブじゃなくてポジティブに親が受け止める。
最初っからもう「ゲームは駄目」だとか「ゲームって悪いもの」だと決めつけてしまうと、逆に子どもはやりたくなるし、親が強い禁止をしたりすると、反抗したりする。
そうじゃなくて、お子さんの気持ちをまず受け止めるっていうことが、大切かなと思うんですよね。
米澤:
ですよね。そもそもそのゲームって、一流のクリエイターたちがハマるように作っているすごいツールです。子どもが楽しくなっちゃうのは当たり前。
ゲームを攻略することで、いろんな思考力も育っていったりするので、必ずしもゲームが悪いということではないんですよね。
蓑田:
あともう一つ今気になったのは、「ご褒美として何かをやる」。
これは、本人の自覚とか自立が全然育たないやり方なんですよね。
米澤:
そうなんですよね。
蓑田:
なので「自分はゲームをやっちゃいけないんだ」とかっていうのを、自分で思うようになってかないと、延々と続く。なんでやらせてくれないの?みたいなのがずっと続いてっちゃうんですよね。
米澤:
そうですね。
結局、思考停止になっちゃう。ただ自分がゲームをやりたいから、もう何も考えずその課題をただクリアするだけみたいになっちゃうと、本当に思考停止になってしまうので、将来自分で考える力っていうのは本当に育っていかない。
蓑田:
小4ぐらいの子どもって、まだ親がもう絶対権力だから、あの親が何とかしろって言ったら従ってるんだけど、中学高校になってきたら、腕力も逆転してくるし、言葉もたってくる。
そうなると、ご褒美とか親の権力で押さえつけることができなくなって、大変なバトルが始まるっていうこともあるんですよ。
だからご褒美とかを与えてそれをやらせるって発想そのものを、もしかしたら1回、クリアした方がいいのかなっていうふうに思いますね。
あくまでも、本人がゲームをやっていいのか悪いのかという判断を自分でできるようになることが理想。
中学生高校生になったときに、「こんなにゲームやってたらもう進学できない」とか、自分でそういうふうに思ってかないと、いつまでも親との対立関係でしか物事を見ない人間になっちゃうんですよ。
大人になっても引きこもって親との対立関係になったりすると、本当に引きこもりっていうことにも発展していっちゃう。
その前にまず子どもが自分のことを自分で考えるっていう環境を、家庭内で作るっていうことが大切かなっていうふうに思います。
米澤:
本当にそう思います。
自分で考えて判断していかないと、もう好きにしてさせてあげると、飽きる子はいつか飽きるし、飽きないでずっとやってる子はもしかしたら本当にゲームの世界で仕事をしていくのが向いているからなのかもしれません。
蓑田:
サドベリースクールにいたお子さんはゲーム好きで、今eスポーツの分野でアジア大会にランキングされるぐらい。
米澤:
すごいですね。
蓑田:
プロになるかどうかはわからないけれど、そのくらいまでゲームが好きな人もいる。
元サドベリースクールにいた子で、ゲームばっかりやってた子がいたんですが、その子に保護者が「ゲームは飽きますか?」と聞いたことがありました。そうしたらその子は「ゲームに飽きることは絶対にありません」って。
彼はそのままゲームの道に行って、ゲームを作りたいからって言って高等専門学校に行きました。自分でゲーム作りたいっていうふうに多分思ったんだよね。
米澤:
すごいですね。
蓑田:
だってゲームって巨大産業ですよね。世界規模です。大人の感覚だと遊びだと思ってるだろうけど、ゲームで稼いでる人はいっぱいいる。六本木ヒルズなんかに住んでる人はほとんどゲーム関係じゃないですかね。ゲームで起業して、大儲けするとか。ゲームが本当に好きだったら逆に食ってける。
米澤:
ITで起業した人たちも、たいていゲームではまってる人ばっかだっていうのも聞きます。
聞いた話だと、マイクロソフトに勤めてらっしゃる方が、毎年1ヶ月休みを取るために仕事を頑張ってるらしいんです。その1ヶ月何をするかっていうと、「モンハンの旅に出る」。その1ヶ月モンハンに浸るために1年頑張るんですって。そういうのも面白くていいなと思って。
ゲームが自分の生活の活力にもなっているというのは、大人も同じだなと思いますよね。それだけゲームクリエイターの作ってるゲームってすごいんだなと思いますね。
蓑田:
子どもも、自分で自分のことを考えるようになったら、ゲームばっかりいくらやったって、ゲームで食ってけないってのはわかると思うんですよ。
例えばゲームの会社に入りたいと思ったときに、ゲームをいくらやってもゲーム会社には雇ってもらえません。だから、例えば大学行かなきゃいけないとか……新卒でゲーム会社に入るってなったら、絶対大学行かなきゃいけないわけですよ。
そうすると、あそこの会社に入りたいと思ったときに、自分で考えますよね。ゲームだけをいくらやったって会社には入れないだろうってわかりますよ。
自分がゲームクリエイターになりたいと思ったら、当然勉強もするだろうし、そのためには通信制でもいいから高校通うかとか、ちゃんと4年制の大学行こうとかとか、自分で考えるようになるんですよ。
「自分で考えるようになる」ってことが、やっぱり全てのキーポイントだと思うんですよ。
不登校のトビラ 第2回「子どもとゲームとの付き合い方」
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次回開催もお楽しみに!
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