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おはなしワクチン|器がちっちゃいなぁ


 
 

つまらないことにこだわる。 どうでもいいことに小言を言う。 こういう人を称して「器が小さい」といいますね。 たとえば、「あの人、器がちゃっちゃいなぁ」といった使い方をします。

ところで、最近思うのですが、日本の学校教育って、器がちっちゃすぎません? 漢字のハネとかトメとか、点丸の位置とか、靴下の長さとか、髪の毛の色とか。 どうでもいいことに、いちいち目くじらを立てるようです。

普通の会社でこれやったら、たぶん嫌われますよ。 こんなふうに細かいことをいちいちうるさく指導したら。 ほんと「器がちっちゃいな」と思いますね。

話は変わって、先日、一本の映画を見る機会がありました。 田中健太さんという知りあいの監督が作った「風たちの学校」という作品です。

舞台は愛知県の奥三河にある黄楊野(つげの)高校。 全寮制の学校で、在籍している7割ぐらいが元不登校の生徒だそうです。

この高校、全寮制であることをのぞけば普通の学校です。 いま流行りの探究学習をやるわけでもなく、フリースクールのように自由でもありません。 ちゃんと授業の時間があり、先生が教壇に立って教えます。

ただ、映画を見れば分かるけれど、一つだけ普通の学校と違うところがあります。 それは、たぶん、器の大きさだと思います。 いろんな個性を持ったはみ出しがちな子を、受けとめてあげる度量の大きさがあるのですね。

もちろん教師としては思うところがあり、間違ったことがあればきちんと生徒に指摘します。 でも、それが上から目線になっていない。 一方的な押しつけではなく、「私はこう思うよ」というアイメッセージになっているのです。

 
 
文・蓑田雅之 
おはなしワクチン