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おはなしワクチン|大人の色めがねで子どもを見ないで!


 
 

うちの子は小学校3年生からの4年間をテーマ学習をやる学校に通い、中学校の3年間は先生も授業もないサドベリースクールで過ごしました。 どちらも文科省から認可されていないオルタナティブスクールです。

 

こういう特徴的な学びを行う学校は、一般の学校とよく比べられることがあります。 学校説明会の参加者なども元気な子どもたちの様子を見て、「すごいですね、自分の意見をはっきり言えるんですね」などと感心されます。

 

そういうときは「ほらね、こういう自由な学校で学ぶと普通の学校より子どもの自主性が育つでしょ」と思う自分がいる一方で、「いやいや待てよ、それは違うだろう」と同時にその考えを否定している自分がいました。

 

なぜ否定するか。 それは大人の色めがねで子どもを見てしまっていると思うからです。 初めから「人前でハキハキ物が言える子」がよくて、「物怖じして人前に出られない子はダメだ」という偏見がそこにあるからです。

 

探究学習、いいでしょう。 子どもが自主的に学ぶ。 素晴らしいと思います。 でも同時に、探究なんかしなくてもいい、部屋にこもってゲームしたり、ユーチューブ三昧でもいいじゃないか、そんな思いも忘れたくはありません。 大人の勝手な価値観、色めがねで、子どもの善し悪しを判断してはいけない。 今の社会、それが結局子どもたちを苦しめているのだと思うからです。

 

何が善くて、何が悪いか。 そんなことは誰にも決められません。 唯一決められるとすれば、それは人生を生きている本人だと思います。

職業に貴賎はありません。 一流企業に勤めている人は素晴らしい? 一生バイト生活はダメな人生? そんなの誰にも決められませんよね。 華々しい経歴の人が不幸なこともあれば、一生フリーターで楽しく生きている人もいます。 子どもの人生も同じこと。 たとえ親であっても、その子の人生の善し悪しを勝手に決めることはできません。

 

オルタナティブスクール、素晴らしいと思います。 イキイキと学ぶ子どもたち、素敵だと思います。 でも同時に、イキイキしてなくても、ダラダラしている子でも、同じくらい私は素敵なんじゃないかなと思います。

子どもはこうあるべき、という大人の勝手な思い込みが、子どもたちの人生を窮屈で生きづらいものにしている。 いい意味で、子どもたちをもっと放っておいてもいいのではないでしょうか。 自戒を込めて、そう思います。

 

文・蓑田雅之
 
おはなしワクチン

蓑田 雅之(みのだ まさゆき)
コピーライター。一般社団法人楽習楽歴代表理事。
「東京サドベリースクール」の元保護者。子どもがオルタナティブスクールに通うようになり、従来の学校教育のあり方に疑問を持ち、教育分野の研究に着手。自立した人間を育てるための保護者のあり方を探究するとともに、各地でお話し会を開催。また、企業や保育園・幼稚園にて、不登校を理解するための「おはなしワクチン」の活動を続けている。
著書『もう不登校で悩まない!おはなしワクチン』『「とりあえずビール。」で、不登校を解決する』(共にびーんずネット)